9路道場仮設掲示板♪
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[86] ミニ小説(14) 投稿者:びっくにゃん 投稿日:2011/07/28(Thu) 23:21  

お気楽な冒険者達(14)

 そして夕方。冒グルから借りた荷車を廊下に持ち込んで、荷物をひとつずつ積み込んでいく我々。荷物と言っても、そんな大したものは持っていない。装備と着替え、薬品やアイテム類が少々。これくらいの量なら、わざわざ荷車を借りなくても、全員がちょっと大きめのリュックを背負えば十分だと思うが、まぁ出発の雰囲気作りのひとつとして借りることにした。ちなみに、シモンがここに来てからため込んでいたアイテムは、元の持ち主に返すということで没収された。
「ちわ〜っす、クリーンサービスの者で〜す。まずはこの部屋から…あ〜っ! 貴様らっ!」
 作業服を着て帽子をかぶっているが、聞き覚えのあるその声と、見覚えのあるその顔は…?
「お前、こないだの三男っ! 何してるんだよこんなところで。」
「何って…バイトだよ、バイトっ!」
「だから、何でバイトなんかしてるのかな?」
「兄弟仲良く森に潜むんじゃなかったのか?」
「4人分の祈祷料が払えないから、こうしてバイトで小銭を稼いでるんだよっ! 貴様らのせいでなっ!」
「にゃんでわたしたちのせいなのにゃ。」
「迷惑を被ったのは、我々のほうだぞ?」
「やかましぃっ! 元はと言えば、お前らが我々の森に…」
「こら〜っ! 新入りっ! 何サボってんだっ! 早くこっち来いっ!」
「はっ、はいっ! すぐ行きますっ! …ちっ、貴様ら、覚えてろよっ!」
「忘れるわけないだろ。少なくとも、次の町に着くまでは。」
「はいはい、覚えておいてあげるねぃ。1週間くらいは。」
「俺は3日くらいかな。そんなことよりかわいい女の子が見送りに…ちぇっ、来てないのか。」
「わたしは3歩あるくまで覚えてますにゃ。」
「貴様らぁ…」
「じゃ、そろそろ行こうか。忘れ物はないな?」
「全部ここに積んだねぃ。それよりゴビリンさん、次はどこへ行くのかな?」
「さぁ…冒グルは、ちょっと大きい町ならどこにでもあるからな。特にどこっていうんじゃなくて、気の向くままに、旅をしてみるか。」
「オレもそれがいいと思うねぃ。」
「俺はかわいい女の子がたくさんいる町がいいな。」
「わたしは鮭料理が食べたいから、海の近くがいいですにゃ。」
「女の子なんてどこにでもいるし、鮭も別に海の近くじゃなくても食えると思うぞ。」
「それもそうだな。」
「そうですにゃぁ、にゃははは♪」
「じゃ、行こうか。」
 ガラガラガラガラ…
 荷車を囲んでそんな話をしながら、お気楽な冒険者達は、まだ見ぬ町を目指して、冒グルを後にしたのだった…

−終わり−

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 まぁ、にゃんていうか、こんな話ですにゃ。登場人物の中に、にゃんか囲碁仲間に似てる人がいるような気がしますけど、まぁ気にしにゃいでくださいにゃ。もちろん100%フィクションですにゃ。この物語はこれでおしまいで、次回作は…気が向いたらまた別の話を書くかもしれませんにゃ。お暇なら、感想など書いていっていただけると嬉しいですにゃ♪


[85] いらっしぃませ 投稿者:びっくにゃん 投稿日:2011/06/13(Mon) 00:29  

 屋島屋さんいらっしぃませ。13路親睦会ではお世話になりましたにゃ。また時々おじゃまさせていただこうかにゃって思ってますから、よろしくお願いしますにゃ。ミニ小説、わざわざ見に来ていただいて、お粗末さまでしたにゃ。そのうち次の作品を書こうかにゃって思ってますにゃ。
 それと、これはこちらの事情で恐縮にゃんですけど、屋島屋さんのメールアドレスを、念のため、管理者権限でデータファイルから削除させていただきましたにゃ。実は、もう何年も前の話になるんですけど、うちのサイトで運営させていただいていたオンラインゲームで、ちょっとした事件が起こって、一部の参加者さんのメールアドレスが流出したことがありましてにゃ。大丈夫だとは思いますけど、念には念を入れてみましたにゃ。もし、屋島屋さんのほうが問題にゃいようでしたら、次以降の記事でメールアドレスを入れてもらえれば、こちらはそれ以上にゃにもしませんにゃ。他意はにゃいんで、お気を悪くしにゃいでくださいにゃ♪
 じゃ、皆さん、また来てくださいにゃ〜♪


[84] 初めまして、屋島屋と申します 投稿者:屋島屋 投稿日:2011/06/12(Sun) 17:03  

びっぐにゃんさん、こんにちは。
碁美さんから小説の話を聞き、興味を持ち寄らせてもらいました。
このままでも、十分面白いですが、登場人物をよく知っていたら、もっと面白かったでしょうね。
迷惑でなければ、時々寄らせてもらいたいと思っています。
よろしくお願いします。


[83] いらっしぃませ 投稿者:びっくにゃん 投稿日:2011/06/11(Sat) 23:43  

 碁美さんいらっしぃませ。書き込みありがとうにゃ♪作中ではあんな感じになってますけど、かわしもさんもあやしなさんも、いい人ですにゃ。みんなで仲良く楽しく遊びたいですにゃ♪
 それと、2ページ目に流れちゃいましたけど、「にゃんとピョン吉」っていうミニ小説もありますにゃ。もっと古いのも、いろいろありますにゃ。皆さんお暇なら、ちょっと読んでやってくださいにゃ♪
 次の作品は、今日の5−碁の続編にするか、冒険ファンタジーものにするか、自虐ものの短編にするか、いろいろ考えてるんですけどまだ決まってませんにゃ。ミニゲームも作りたいし、絵も描きたいし…あ〜、囲碁の勉強をする時間がどんどん減っていくにゃ♪
 じゃ、皆さん、また時々ここを見に来て、たま〜ににゃにか書いていってくださいにゃ〜♪


[82] みん♪ 投稿者:先生 投稿日:2011/06/11(Sat) 11:29  

見事なまでに大切な生徒の特徴を表現されていますね。5年碁組は愉快な仲間が集まりました。 この調子で末永く楽しい学校生活が続くことを祈っています。

が 

か〜しもは こんなに素直じゃないでしょっ! 先生に刃向かうばかりで 手に負えず 先生は今や か〜しもの言うなりです。 あやし〜なも 手に負えんわ。 何時アヤシナ・パンチが炸裂するかビクビクだよ! 先生はあやし〜なにも逆らえません!

でも、にゃんちゃんは優しいね。 頼りにしてるんで、今後とも宜しくね♪


[81] ミニ小説 「今日の5−碁」 投稿者:びっくにゃん 投稿日:2011/06/01(Wed) 17:20  

 またミニ小説を書きましたにゃ。今回は学園もので、前回と違ってかわしもさん視点での物語になってますにゃ。お暇なら読んでやってくださいにゃ♪
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
今日の5−碁(1) 作:にゃん

「えっとぉ…囲碁はぁ…ふるきよりぃ…」
 それは「こらい」って読むんだねぃ。
「おやしまれてきたぁ…」
 それは「したしむ」だねぃ。
「えっとぉ…ばん…うえ…ゆう…ぎ?」
 もっとすらすら読めないかな?
「ですにゃ。」
 どこに「にゃ」って書いてあるんだよ。
「はい、にゃんさんありがとう。じゃぁ、今のところを、川下君、もう1回読んでください。」
「はいっ。囲碁は、古来より親しまれてきた、盤上遊技です。」
「かわしもさん、すごいですにゃぁ。」
「こんなの誰でも読めるねぃ。」
 ここは、木津(きっず)小学校5年碁組の教室。去年まで通ってた谷風(やふう)小学校が廃校になって、オレ達みんなでこっちへ転校して来たんだねぃ。オレは川下。5年碁組の学級委員をつとめさせてもらってる、自分で言うのも何だけど、いわゆる優等生だねぃ。そして、隣に座ってるこいつが、にゃん。今の音読をみてもわかると思うんだけど、まぁ、何て言うか…ただ頭が悪いだけじゃなくて、トロいんだねぃ。勉強もスポーツもまるで駄目な、いわゆる落ちこぼれタイプで、いつも「にゃ」とか言ってる変な奴だねぃ。
「それじゃ、今日はここまでにしましょう。続きは明日の国語の時間に…」
 ♪キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン…
 碁美先生、あいかわらず、時間の使い方がうまいねぃ。いつも時間ぴったりに授業が終わるねぃ。さて、次の時間は算数か…特にやることもないし、授業が始まるまで、このままぼ〜っとしてるかな。

「おい、にゃん。お前、あんな簡単な文も読めないのかよ。」
「にゃ?」
「お前、バカなんじゃないの? 猫ののうみそじゃ、授業についていけないのか?」
「にゃぁ…」
 あ〜、点鱈(てんたら)、あいつまたにゃんをいじめてるよ…
「だいたい、お前、バカっぽいんだよ。何が『なんとかだにゃ』だよ。」
「そんなこと言われたって…にゃぁ…」
「服だけ真面目そうにしても、ほら、この頭がバカっぽいんだよっ!」
 ポカンっ!
「にゃっ!」
 あ〜、叩いたら、ただでさえ悪い頭が、ますます悪くなるかもねぃ。まぁ、でも、点鱈の言うことも、わかんないでもないかな。きっず小学校には制服っていうものがなくて、みんな普通の服で登校してるんだけど、にゃんはなぜか毎日毎日、白の丸襟ブラウスに、紺色の吊り紐付きプリーツスカート…昔の小学校の制服みたいな格好で来るんだねぃ。それでもって、頭に猫の耳の飾りなんか付けてるから、そのアンバランスな感じが、バカっぽさをますます強調してるように、見えなくもないんだねぃ。
「ほら、取れよ、こんな耳。ちょっとは頭が良くなるかもしれないだろっ!」
 ごちんっ!
「ぎにゃぁ!」
 う〜ん、ちょっとかわいそうになってきたねぃ。しょうがない、助けてやるか…

「あ〜、点鱈、にゃんをいじめちゃいけないねぃ。」
「何だよ、か〜しも、関係ねぇだろ?」
「か〜しもじゃなくて、川下だねぃ。それより、やっぱりいじめは良くないかな?」
「おい、か〜しも。お前、学級委員だからって、かっこつけてんじゃねぇぞ?」
「だから、か〜しもじゃないし、かっこつけてもいないねぃ。」
「だいたい、こいつがバカだから悪いんだろ? お前だって、迷惑してるじゃないか。」
 う〜ん、それは、そぉなんだけど、だからっていじめていいってことにはならないよぉな…
「勉強ができるかどうかは、人それぞれだからねぃ。さっきの国語の教科書は、にゃんにはちょっと難しかったかもしれないねぃ。」
「そうそう、にゃんちゃんは頭悪いんだから、あんな難しい文、読めるわけないじゃん。」
 あ〜、彩品ちゃん、いつの間に…それに、さりげなくフォローしてるようで、全然フォローになってないよぉな…
「けっ、援軍が来やがったか…今日のところはこのくらいにしておいてやる。もう迷惑掛けるなよっ!」
 捨て台詞を残して廊下へ出て行く点鱈を、冷ややかな視線で見送りながら、オレはにゃんに声を掛ける。
「にゃん、大丈夫か?」
「にゃんちゃん、痛くなかった? ますます頭が悪くなったりしてない?」
 だから、彩品ちゃん、フォローになってないって…
「大丈夫ですにゃ…助けてくれてありがとにゃ…」
 別にそんなことはどぉでもいいけど、本人のためにも、もうちょっとがんばって勉強する方がいいよぉな…


[80] ミニ小説(2) 投稿者:びっくにゃん 投稿日:2011/06/01(Wed) 17:19  

今日の5−碁(2)

「定価10000円の卓上盤が、今日はサービス価格の2割引で買えるそうです。さて、にゃんさん、いくらで買えますか?」
「はいっ…え〜と…9998円ですにゃ。」
 それは2円引だねぃ。
「にゃんさん、2円引じゃなくて、2割引です。わかりますか?」
「え〜と…え〜と…5000円ですにゃ。」
 それは5割引だねぃ。やっぱりわかってないみたいだねぃ。
「にゃんさん、2割引っていうのは、2で割るんじゃなくて、元の値段の2割を引くことですよ。1万円の2割は、いくらですか?」
「え〜と…え〜と………にゃぁ…」
 やっぱりこいつ、バカかもしれないねぃ。
「じゃぁ、小数で考えてみましょう。2割を小数で表すと、どうなりますか?」
「え〜と…え〜と…0.2…です…にゃ?」
 そんなの1秒でわかりそぉなもんだねぃ。
「はい、そうですね。それじゃ、その0.2をさっきの問題にあてはめると、どうなりますか?」
「え〜と…0.2円はぁ…20銭だからぁ…」
「そうじゃなくて、元の値段の2割ですよ。」
「え〜と…元の値段は…たしか10000円…あっ、2000円で買えますにゃ。」
 惜しいっ、それは8割引だねぃ。
「この問題は、ちょっと難しかったかもしれませんね…じゃぁ、川下君、わかりますか?」
「はいっ、8000円です。」
「かわしもさん、すごいですにゃぁ。」
「こんなの誰でもわかるねぃ。」

「おいっ、バカ猫っ! お前、いい加減にしろよなっ! お前がバカだから、授業がちっとも進まないじゃないかっ!」
「にゃぁ…ごめんにゃぁ…」
 あ〜、点鱈、またにゃんをいじめてるよ…
「お前、のうみそ入ってるのか?」
 ごちんっ!
「ぎにゃぁ!」
「ちょっと割って見てやろうか? 何かかたいもの…そうだ、これがいいっ。」
 おい、それって、習字の時に使う文鎮じゃないのか?
「にゃぁっ! やめてにゃっ! 死んじゃうにゃっ!」
「やかましいっ! おとなしくしてろっ! さんざん迷惑掛けてきたんだから、自業自得だっ!」
 にゃんの首を押さえつけて、文鎮を振り上げる点鱈…まさかホントにそんなもので殴るとか?
「ごめんにゃぁ…許してにゃぁ…びにゃぁぁ!」
 あ〜あ、泣いちゃった。両手で頭を押さえてふるえながらまるくなってるよ…しょうがない、助けてやるか。

「あ〜、点鱈、にゃんをいじめちゃいけないねぃ。」
「何だよ、か〜しも、またかよ。」
「だから、か〜しもじゃないし、『またかよ』はこっちの台詞だねぃ。死ぬよぉなことはないだろぉけど、こんなもので殴って、血が出たりすると、面倒なことになるねぃ。」
 そう言いながら、さっと文鎮を取り上げる。これで大丈夫かな。
「何だよ、オレだけが悪者かよ。」
 他に誰が悪いのかな?
「そりゃ、にゃんは、授業で当てられても、なかなか答えられないこともあるけど、迷惑って言うほどじゃないし、そのくらいはしょうがないと思うんだねぃ。」
「そうそう、にゃんちゃんは頭悪いんだから、あんな難しい問題、わかるわけないじゃん。」
 あ〜、彩品ちゃんいつの間に…それに、また全然フォローになってないこと言ってるよぉな…
「けっ、これじゃまるで、オレがいじめっ子みたいじゃねぇか。やってらんねぇよまったく。」
「みたいじゃなくて、実際いじめっ子だと思うねぃ…ってもういないか。」
 バツが悪そうに廊下へ出て行く点鱈の背中に声を掛けても、返事はなかった。さて…
「にゃん、大丈夫か?」
「にゃんちゃん、痛くなかった?」
 痛かったに決まってると思うけどねぃ。
「ぐすっ…いつも助けてくれて、ありがとにゃ…ありがとにゃ…」
 そう思うなら、いつもいじめられてないで、ちょっとは成長して欲しいよぉな…


[79] ミニ小説(3) 投稿者:びっくにゃん 投稿日:2011/06/01(Wed) 17:19  

今日の5−碁(3)

「え〜、囲碁の歴史について、まず囲碁がいつどのような形で始まったかという話なんですが、実はまだ、よくわかっていないのです…」
 社会の授業。今日は囲碁の歴史の勉強なんだけど…にゃんのやつ、さっきから何だかごそごそして、落ち着きがないねぃ。
「日本には、遅くとも平安時代頃には、現在のものに近い形で伝わっていたと思われ…」
 何だか、座り直したり、足をもじもじさせたり、さっきから何をやってるのかな?
「江戸初期には、本因坊算砂らによる家元制が確立し…」
 スカートの裾をぎゅ〜っと握ったりして、何だか表情も苦しそうに見えるけど…
「…そして現在に至るわけです。では、この続きは次の時間に…」
 ♪キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン…
 がたんっ、だっ…
 何だか切羽詰まったような表情で、椅子を蹴って教室を飛び出していくにゃん。なぜか、その後ろを点鱈が追いかけていく。
「にゃぁっ! はなしてにゃっ!」
「こら、にゃん、そんなに急いでどこへ行くんだよっ! だいたい、お前はいつも…」
 何だか廊下で騒いでるみたいだけど、何やってるんだあいつら?

「お〜い、お前ら、そんなところで何やってるのかな?」
「いいから、オレの話をだな…」
「はなしてにゃっ! お話は、あとで聞くにゃっ!」
 何だかよくわかんないけど、点鱈がにゃんの腕をつかんで無理矢理引っ張ろうとしてて、にゃんはすっごく嫌がってるよぉな…しょうがない、助けてやるか。
「点鱈、はなしてやったらどぉかな? ほら、にゃん、涙ぐんでるねぃ。」
「はなしてにゃっ! 出ちゃうにゃっ!」
「ほら、何だか知らないけど、にゃんも急いでるみたいだし、逃がしてやるといいねぃ。」
「けっ、か〜しも、いつもいつもかっこつけやがって…ほらよっ!」
「だから、か〜しもじゃなくて…」
 どんっ! どてっ…
「にゃっ! あっ…あぁ……うっ…びにゃぁぁぁ!」
 点鱈にいきなり突き飛ばされて、廊下の真ん中で尻餅をついて泣きじゃくるにゃん…このくらいで泣くなよ。そんなことだから、いつもいじめられるんだねぃ。しょうがない、助けてやるか…と思って、にゃんの方に視線を移すと、にゃんのスカートから、水たまりがじわ〜っと広がっていくのが見える…あ〜、やっちゃった、これは泣くかもねぃ。でも、こぉいう時って、どんな言葉を掛けたらいいのかな?

「あ〜、にゃんちゃん、何やってるの。5年生にもなって、廊下でおもらしなんかしちゃって。」
「びにゃぁぁ…」
 あ〜、彩品ちゃん、ちょうどいいところへ。あいかわらず全然フォローになってないけど、オレはどうしたらいいかわかんないし、ここは彩品ちゃんに任せてみようかな。
「大丈夫、大丈夫。にゃんちゃんはトロいんだから、おもらししたって別に不思議じゃないし。恥ずかしいことじゃないんだから、気にしなくていいのよ。わたしが一緒に保健室へ行ってあげるから。ほら、立てる?」
「ぐすっ…にゃぁ…」
 なるほど、変に気を使って言葉を選ぶより、こんな風にストレートに言うほぉがいいみたいだねぃ。冷静に考えてみると、とんでもない大事件だし、恥ずかしいに決まってるんだけど、彩品ちゃんがこう言うと、ホントに何でもない出来事みたいに思えてくるねぃ。彩品ちゃんに促されて、にゃんが立ち上がろうとした、その時…
 カシャッ!
「よしっ、うまく撮れた。」
 あっ、点鱈、デジカメなんか持って…にゃんの写真を撮ったのかな?
「へへ〜ん、バカ猫、恥ずかしいに決まってるじゃねぇか。5年生にもなって、おもらしだぜ?」
 あっ、こいつ、折角うまく収まりかけてたのに、余計なことを…
「今度の学級新聞のトップ記事は、これで決まりだなっ。それ、もう1枚…」
 カシャッ!
「びにゃぁぁ!」
 だっ…たたたた…
 泣きながら走り去るにゃん…あ〜、どっか行っちゃった。廊下のあちこちに、しずくが飛び散ってるねぃ。


[78] ミニ小説(4) 投稿者:びっくにゃん 投稿日:2011/06/01(Wed) 17:18  

今日の5−碁(4)

「おいっ、点鱈、お前…」
 オレが点鱈に詰め寄ろうとした、その刹那…
「アヤシナ・キーック!」
 ばきぃっ! どたっ! びしゃっ!
 あ〜、そういえば彩品ちゃん、空手黒帯だとか言ってたねぃ。こめかみに鮮やかな上段蹴りを食らって、廊下に崩れ落ちて、水たまりに顔から突っ込む点鱈…
「お〜い、生きてるかぁ?」
 ごとんっ!
 その手から転げ落ちたデジカメを、さっと拾い上げる。
「点鱈っ! あんた、なんてこと言うのよっ! にゃんちゃんかわいそうでしょっ! そんなこともわからないのっ! にゃんちゃんに謝ってきなさいよっ!」
「あ〜、これは、消しておくからねぃ。え〜と…『よろしいですか』で、『はい』を押せばいいのかな?」
 ピッ…
 まったく、こぉいう奴がいるから、どっかの偉い人が、小学生に携帯やパソコンを持たせるのはどうのこうの…とか言い出すんだねぃ。点鱈の返事はなかったけど、オレはそんなことを考えながら、デジカメのデータを全消去した。

「え〜、にゃんさんは、体調が悪くて、今日も休むそうです。」
 あれから1週間、にゃんは今日も休みか…ちょっと心配になってくるねぃ。
「宿題や行事予定のプリントもたまってるし…川下君と彩品さん、今日の放課後、にゃんさんの家に行ってもらえますか?」
 碁美先生にこう言われると、断るわけにもいかないねぃ。オレは彩品ちゃんの方をちらっと見て…
「はい、行きます。」
「わたしも行きます。」
「そうですか、それじゃ、お願いします。」
 そして、帰りの会で碁美先生から、にゃんに届けるプリントを受け取ったオレと彩品ちゃんは、2人で点鱈の方へ歩み寄る。
「えっ…おい、何だよ、お前ら?」
「点鱈、お前も行くんだねぃ。」
「そうよ、一緒に来てもらうからねっ!」
「何でだよっ! 先生に頼まれたのは、お前らだろっ!」
 こいつ、自覚ってものが、まるでないねぃ。
「お前がいじめたから、にゃんは学校へ来なくなっちゃったんだねぃ。」
「そうよ、責任取りなさいよ。」
「おいおい、違うだろっ! こないだのあれが、ショックなのか、恥ずかしいのか…とにかくそれで来ないんだろっ!」
「その後、お前が写真なんか撮って、ひどいこと言ったのが原因だねぃ。そぉいえばお前、その前から、時々にゃんをいじめてたねぃ。」
「そうよ、点鱈のせいに決まってるでしょ。」
「いつ決まったんだよ、そんなことっ!」
「じゃぁ、それを確かめるためにも、一緒に来るといいねぃ。」
「わかった? 点鱈、来るよね…」
 ポキッ…
 なんか今、彩品ちゃんの指が鳴ったような…
「わっ、わかったっ! 行くっ! 行けばいいんだろっ!」

 ピンポ〜ン♪
 がちゃっ…
「にゃ? 皆さん、どうしたんですにゃ?」
 本人が出てくるとは思わなかったけど、にゃん、元気そうだねぃ。やっぱり仮病だったのかな?
「碁美先生に言われて、プリント持って来たんだねぃ。」
「それに、にゃんちゃんのお見舞いもね。こっちのほうがメインかな?」
「オレは別に…なぁ…」
「そうですかにゃ、ありがとうにゃ。皆さん、あがってくださいにゃ、今お茶でも…」
「あ〜、そんなのいいから。オレ達、すぐ帰るからねぃ。」
「どうぞおかまいなく。それより、にゃんちゃん、元気そうだけど、そろそろ学校に来られないの?」
 にゃんの表情が、にわかに曇る…あ〜、まだ気にしてるのかな?
「それはぁ…そのぉ…なんて言うか…にゃぁ…」
「別に気にすることないねぃ。」
「そうそう、別に恥ずかしいことじゃないって、こないだも言ったじゃん。」
 恥ずかしいことだけど…とは言えないねぃ。
「そのぉ…点鱈に邪魔されて…トイレに間に合わなくて…出ちゃったのは…別にいいんですにゃ。」
 別にいいのか!?
「でもぉ…写真がぁ…学級新聞に載ってるにゃ…みんなに笑われるにゃ…」
「載ってない、載ってない。だいたい、学級新聞、まだ作り始めてないし。」
「デジカメの写真は、オレが消去しておいたねぃ。」
「ホントですかにゃぁ? でもぉ…そう思わせておいて…やっぱりみんなに写真見られてて…わたしみんなにいじめられて…」
「そんなことないって。」
「あれはホントに消去したから、信用して欲しいねぃ。」
 やっぱり点鱈のせいだったねぃ。


[77] ミニ小説(5) 投稿者:びっくにゃん 投稿日:2011/06/01(Wed) 17:18  

今日の5−碁(5)

「点鱈、にゃんちゃんに言うことがあるでしょ? ほら、言いなさいよ。」
「にゃ?」
 うんうん、これで点鱈がちゃんと謝れば、すべて丸く収まるかな?
「あ〜、その、にゃん、何て言うか…その…」
「にゃ?」
「へへ〜ん、バカ猫、お前のすっげ〜恥ずかしい写真は、もう新聞に載ってるよっ! 学校に来るなら、オムツでもして来いよなっ! みんなで笑ってやるからなっ!」
「びにゃぁぁ!」
 ばたんっ! がちゃっ!
「あっ、にゃんちゃん、嘘に決まってるって。ほら、もう1回、わたしたちの話を…」
「にゃん、開けて欲しいねぃっ!」
 ピンポ〜ン♪ ピンポ〜ン♪ ダンダンダンっ!
 いくら呼んでも、にゃんは出て来なかった…
「おいっ、点鱈、話が違うだろっ! 何であんなこと言ったんだよっ!」
「だって…なぁ…女子に謝るなんて、そんなこっぱずかしいこと…なぁ…」
「アヤシナ・キーック!」
 ばきぃっ! どたっ!
「お〜い、生きてるかぁ? まったく、バカな奴だねぃ。にゃんのこと言えないねぃ。」
 結局、にゃんが学校に来るようになるまで、1ヶ月かかった…

「え〜、じゃぁ、次のところを、にゃんさん読んでくれますか?」
「はいにゃ…」
「あっ、先生っ、わたしが読みま〜す。囲碁の着手は、黒が先番で、黒白交互に1手ずつおこなわれます…」
「え…彩品さん…」
 彩品ちゃん、何も、そこまでしなくても…
「…はい、読みました。それと、先生、にゃんちゃんのために、全部ひらがなの教科書を用意してください。」
 彩品ちゃん…1年生じゃないんだから…
「あの、あやしなさん、わたしは別に…」
「いいのいいの、にゃんちゃんは気にしなくていいのよ。わたしが何でもフォローしてあげるから。」
「え〜と、そのぉ…お気持ちは嬉しいんですけどぉ…」
「いいっていいって、遠慮なんかしなくても。にゃんちゃんはトロいんだから、わたしが手伝ってあげる、ねっ。」
 あ〜、あんまり甘やかすのも、どぉかと思うねぃ。
「先生っ、授業が始まって、そろそろ30分になります。にゃんちゃんが、さっきからトイレを我慢してるかもしれません。」
「にゃっ、わたしはにゃにも…」
「いいからいいから。教室でおもらししちゃったら、大変でしょ。また学校に来なくなっちゃうかもしれないし。」
「しませんにゃっ!」
「そんなこと、わかんないでしょ。先生、わたしがにゃんちゃんをトイレにつれていきま〜す。」
「あ…はい…いってらっしゃい…」
「わたしは別に行きたくにゃいですにゃ…」
 先生もにゃんも困ってるよぉに見えるんだけど…
「ほら、にゃんちゃん、行くよっ。」
「にゃぁ…」
 ま、これはこれで、いいのかな。そんなわけで、5年碁組は今日も平和だねぃ。

−終わり−

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 今回の作品は、以前から構想はあったんですけど、なかなか文章としてまとめられませんでしたにゃ。書き始めてからは、ほとんどノンストップで最後まで行けましたにゃ。内容は、まぁこんな話ですにゃ。作中に出てくる「にゃん」の服は、わたしが通っていた小学校の標準服ですにゃ。その頃は猫キャラじゃにゃかったし、そんなに頭が悪かったわけでもにゃいんですけどにゃ。完全フィクションに見せかけて、実は本当にあった話もこっそり盛り込んでるんですけど、それがどの部分にゃのかは、まぁご想像にお任せしますにゃ。ず〜っと前に書き始めてまだ書きかけの、ネットRPGを題材にした作品と、一部重なるところがあるんですけど…両方読むことになる人は、まぁ気にしにゃいでくださいにゃ。そのうち続編を書くかもしれませんにゃ。すっごくお暇なら、感想でも書いていただけるとありがたいですにゃ♪


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