9路道場仮設掲示板♪
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[126] 新ゲーム♪ 投稿者:びっぐにゃん 投稿日:2012/05/16(Wed) 18:28  

 13路親睦囲碁クラブの皆さん、いつもいろいろお世話になってますにゃ。こないだお話しした西青黒さんのゲームを、仮公開させていただきますにゃ。ついでに、てきとうさんのミニゲーム(うりぼうさんのミニゲームと内容はおなじ)も作りましたにゃ。

■西青黒…タイトル未定(BGMなし版)
http://bigchan.sakura.ne.jp/nag/nag1.html
■西青黒…タイトル未定(BGMあり版)
http://bigchan.sakura.ne.jp/nag/nag1m.html
■叫べ! てきとぉう!
http://bigchan.sakura.ne.jp/sakebe2.html

 西青黒さんには、テストプレイをしにゃがら、このゲームの名前を考えていただきたいと思いますにゃ。皆さんには、お暇ならちょっと遊んでいただきにゃがら、バグを発見したり、ご意見ご感想などお寄せいただければと思いますにゃ。また気が向いたら、にゃにか作るかもしれませんにゃ。ミニゲームやミニ小説に登場したい方は、お知らせいただければ、そのうちにゃんとかなるかもしれませんにゃ。
 じゃ、皆さんまた水曜日と土曜日にお会いしましょにゃ。お互いがんばりましょにゃ〜♪

http://bigchan.sakura.ne.jp/nag/nag1.html


[125] 感謝の気持ちを込めて 投稿者:びっぐにゃん 投稿日:2012/04/27(Fri) 23:04  

 13路親睦囲碁クラブの皆さん、いつもいろいろお世話になってますにゃ。その中でも、今回は特に、うりぼうさんへの感謝の気持ちを込めて、3つの作品を作らせていただきましたにゃ。うりぼうさんも、その他の皆さんも、よかったら見てやってくださいにゃ。

■ミニ小説 「武器の店・うり屋」
 この掲示板に載せましたにゃ。お気楽な冒険者達の続編で、ちょっと無駄に長くなっちゃいましたにゃ。上から順番に読めるように、送信順は逆にしてありますにゃ。
■ミニ小説 「スーデ・ソウの杖」
 武器の店・うり屋の続編っていうか外伝っていうか…短めの作品ですにゃ。
■ミニゲーム 「叫べ! うりぼぉう!」
 この記事の参照先から行けると思いますにゃ。SPACEを押すだけで遊べる単純なゲームですにゃ。動作保証は…まぁ運が良ければ動くと思いますにゃ。
 じゃ、皆さん、また水曜日と土曜日にお会いしましょにゃ。お互いがんばりましょにゃ〜♪

http://bigchan.sakura.ne.jp/sakebe1.html


[124] ミニ小説(1) 投稿者:びっぐにゃん 投稿日:2012/04/27(Fri) 22:33  

 わたしの駄作「お気楽な冒険者達」の続編ですにゃ。大まかな設定とか、世界観みたいなものは、変わってませんにゃ。ミニ小説のつもりだったのに、また中編になっちゃいましたにゃ。お暇なら、読んでやってくださいにゃ。

武器の店・うり屋(1) 作:にゃん

「…で、あいつ、まだそんなこと言ってるんだよ。」
「にゃははは♪ そうにゃんですか♪」
「なっ、面白いだろ? さて、私はコーヒーをもう一杯…」
「あっ、わたしも、オレンジジュースのおかわり、もらってきますにゃ。」
 ここは、キッズの町にある冒険者支援グループ、略して冒グルの食堂。窓の外には青空が広がっていて、こうして室内にいると、モンスターが出るなんて想像もできないのだが。現実には、このあたりにはまだまだ危ない生物や、危ない人物もうろうろしているわけで…そんな奴らと戦う我々冒険者は、普段はこうして冒グルの恩恵を受けて、次の戦いに備えて束の間の休息をとっている…ということにしておこう。
「ゴビリンさん、申し訳ないんですが、それ飲んだら、そろそろ…その、食堂を閉めないといけない時間で…」
 厨房から声を掛けてくれるだけでもいいのに、わざわざ我々のテーブルまで歩いてきたウリボーさんが、申し訳なさそうな態度で、要するに「もう閉店だから出てってくれ」と言っている。あ〜、もうお昼の営業が終わる時間か。
「あ〜、こちらこそ、申し訳ない。ほら、キャット、行くぞ。」
「はいにゃ…ごくごくごくごく…うっ! げほごほっ!」
「慌てなくてもいいですよ。でも、おいら、次の店があるんで…」
 ここの冒グルの食堂のコック長…それが、ウリボーさんのひとつ目の職業。あれ、もしかしたら、こっちは副業か? コックとしての腕、接客、店長としての器…どれも超が付くほどの一流で、大きな町で大きな店を出しても恐らく成功すると思うのだが、彼はこんな冒グルの中の食堂で、我々相手に、あんまり儲けのなさそうな商売をしている。まぁ、我々冒険者にとっては、涙が出るほどありがたいのだが。そのありがた〜い食堂は、朝昼夜、それぞれ2時間〜3時間ずつ営業していて、その合間の時間、彼はもうひとつの店にいる。食堂なんだから、営業時間外でも、仕込みや片付けの仕事があると思うが、それは店員に任せているんだろう。
「飲んだか? じゃ、コップを返却口に返して、そろそろ出るぞ。」
「はいにゃ。」
 自己紹介が遅れたが、私は誇り高き騎士ゴビリン。不運な事故で痛めた足もすっかり治って、今は騎士としての任務を立派につとめるために、こうして冒グル内で日頃の鍛錬をしようかと思いながら、おもに食堂と仮眠室で休養の日々を…まぁ、要するに、何もしないでだらだら過ごしている。その私にくっついているのが、自称魔法猫のキャット。猫耳セーラー服の、やや時代遅れ気味なコスプレキャラに見えるが、これで本当に魔法が使えたりする。私が実際に見たのは火炎魔法と回復魔法だが、本人いわく、他にもいろいろ使えるらしい。元々、パーティは4人だったのだが、ちょっとした事情で盗賊と神父が抜けて、今は騎士と魔法猫のデコボココンビ。この2人だけでは冒険にも出られないという理由を付けて、短期滞在の期間はとっくに切れているのだが、こうしてここの冒グルにありがたく住み着かせていただいている。


[123] ミニ小説(2) 投稿者:びっぐにゃん 投稿日:2012/04/27(Fri) 22:32  

武器の店・うり屋(2)

「キャット、午後からの予定って、何かあるのか?」
「予定ですかにゃ…う〜ん…仮眠室のベッドでお昼寝して…起きてあくびしてちょっとツメをといで…またお昼寝して…起きてあくびしてちょっと顔を洗って毛づくろいを…」
「あ〜、わかったわかった。要するに、何の予定もないんだな? まぁ、私もそうなんだが。」
「見方によっては、そういうことになりますにゃ。」
「どんな見方をしたって、そうなるんだよ。だったら、ウリボーさんの店に行かないか?」
「にゃ? ウリボーさんのお店って、この食堂じゃにゃいんですかにゃ?」
「もうひとつあるんだよ。『武器の店・うり屋』っていうんだけど、武器だけじゃなくて、防具や薬、いろんなアイテムとかも扱ってる、まぁ冒険者相手の装備屋っていったところかな。」
「ウリボーさん、そんなお店をやってたんですかにゃ…」
 そんな我々の会話を聞きつけて、ウリボーさんが声を掛けてくれる。
「ゴビリンさんたち、うり屋に来るんだったら、おいらと一緒に、こっちから行きますか?」
「あ〜、それがいい。ほら、キャット、行くぞっ。」
「はいにゃ…って、こっちは厨房…入っていいんですかにゃ?」
「我々だけじゃまずいけど、ウリボーさんが一緒だからな。」
 ウリボーさんの好意に甘えて、厨房の中を通らせてもらうことにする。冒グルの玄関を出て、外から回ってもいいんだが、どう考えてもこの方が早い。厨房の奥は洗い場で、その奥は食材倉庫。そして、その倉庫の奥のドアを抜けると、そこは冒グルの敷地の外の小道…と言っても、馬車が2台すれ違うくらいの広さはある。その小道の向かい側にある、1軒の店。ここが、武器の店・うり屋。ちなみに、本来の道を通ればここまで徒歩で約10分。この抜け道を使えば約1分。ウリボーさんが2軒の店を掛け持ちできるのも、このルートを実際に通ってみれば納得できるだろう。
「キャットちゃんは、ここに来るの、初めてだったかな?」
「はいにゃ。いいお店ですにゃぁ…いろんなものが置いてありますにゃぁ…」
 店頭に並べられた武器や防具に、興味津々といったところか。冒険者なんだから、武器屋に行ったことがないとは思えないが、キャットにとってはやっぱり珍しいらしい。武器の中には、素人が何の気無しに触ると危ないものもあるのだが…まぁ、猫だから、別にいいか。
「この杖、良さそうですにゃぁ…あっ、誰か来ましたにゃ。」
 キャットに言われて道の方を見ると、親子だろうか…高そうな服を着た中年のおじさんと、何だかぼ〜っとした感じの少年が、こっちに向かって歩いてくる。どうやら、この店に来た客らしい。


[122] ミニ小説(3) 投稿者:びっぐにゃん 投稿日:2012/04/27(Fri) 22:32  

武器の店・うり屋(3)

「はいはい、いらっしゃいませ。何かご入り用ですか?」
 営業スマイルで出迎えるウリボーさん。このあたりは、食堂にいる時と何の違いもない。元々、接客業に向いているんだろう。
「うちの息子に、それなりの武具を揃えてやりたいのだが…あぁ、金ならいくらでもある。この店にある、一番高い剣と全身鎧、それに盾や兜も見せてもらいたいのだが。」
 やっぱり親子だったか。父親のほうは、私よりは若いと思うが、それなりの年だろう。立派なヒゲの金持ちそうなおっさんといったところか。息子のほうは…何だか頼りないというか…あ〜、鼻に指なんか入れてるよ…
「武具と言いましても、いろいろありますが…ご子息のご職業は…それによって、どんなものをお見せするのか変わってきますが…」
「騎士にしようと思っている。」
「あの…思っていると仰るのは…ご子息は、今はまだ騎士ではないということでしょうか…?」
 私なら、こう言うだろう。「こんなボンクラ息子が騎士? 剣なんか持ったことあるのか?」と。しかし、そこはウリボーさん、さすがにこの手の客の扱いにも慣れているらしい。
「お父様はこう仰っていますが、坊ちゃん、あなたはどうなんですか? 本当に、騎士になりたいと思っていますか?」
「え〜と…その…ボクは…その…」
「お前は黙っていなさい。わしの言うことを聞いて、騎士になっておけば、間違いないのだ。わしが一番いい武具を揃えてやるし、騎士の選抜試験も、裏で金を回してどうにでも…」
 いるんだよなぁ…こういう親バカっていうか、バカ親っていうか…それが子どものために一番の方法だと本気で信じてるから、困るんだよなぁ…さて、ウリボーさんのお手並み拝見といくか。
「お父様の仰ることもごもっともですが、ほら、ここはやっぱり、本人の意思というものが何より大切かと思いまして…坊ちゃん、どうなさいますか? お父様のご期待通り、騎士になってみますか?」
「え〜と…ボクは…どっちかっていうと…魔法使いとか…商人とか…遊び人とか…別に何でもいいっていうか…」
 この坊ちゃん、要するに、自分では何も考えてないんだな。


[121] ミニ小説(4) 投稿者:びっぐにゃん 投稿日:2012/04/27(Fri) 22:31  

武器の店・うり屋(4)

「では、坊ちゃん、こういうのはどうでしょう? 今はまだ、どの職業にお就きになるか、あえて決めずに、修行をしながらご自身の適正を判断なさるというのは? この店の表の通りを、あっちに向かって歩いて、十字路を右に曲がってしばらく進むと、冒険者支援グループがあるんですが、ご存じですか?」
「うん、知ってるよ。」
「では、ここに、修行用のトレーニングウェアがあります。坊ちゃんのサイズだとこのあたりで…坊ちゃん、お好きな色は?」
「銀がいいかなぁ。かっこいいから。」
「はいはい、シルバーでしたら、こちらになります。これをお持ちになって、受付で、職業はまだ決まっていない、とにかく修行がしたい、そう仰ってください。うり屋の紹介だと言っていただければ、すぐにでも初級者クラスに入れますから。」
 冒グルの初級者クラスで修行をしている生徒は、確か5人か6人しかいなかった。うり屋の紹介じゃなくても、今すぐ入れると思うが。
「坊ちゃんもこう仰っていますし、お父様、これでよろしいでしょうか?」
「うむ、そうだな…息子の自立心を育成するという意味でも、ここは息子の考え通りにさせてやるとするか。では、そのウェア、もらっていこう。いくらだ?」
「はい、上下2組セットで、500ゴールドになります。」
 トレーニングウエアの陳列棚の前にさっと立って、ウリボーさんが営業スマイルを浮かべる。500ゴールド…随分高いな。私のこの鎧だって、もう少し安かったんだが。
「そんなものか。思ったより安いな。うん、いい買い物をした。ご主人、ありがとう。ほら、息子、そうと決まれば早速そのグループとやらに行くぞ。」
「ご職業が決まったら、それに合う装備を買いにいらしてください。まいどあり〜♪」
 受け取った金貨を、店の奥へ持って行くウリボーさん。そのウリボーさんがさっきまで立っていた場所、陳列棚の手前には、1枚の張り紙。
『特価! 練習用トレーニングウェア:2組セットで5ゴールド! 現品限り!』
 ウリボーさん…さては、ただ者じゃないな?
「あっ、また誰か来ましたにゃ。」
「この時間にお客が2組も…珍しいこともあるもんだ…」
 キャットに言われて、また道の方を見てみると、何やらガラの悪そうな若い男がこっちに向かって歩いてくる。あれ、あいつ、どこかで見たような…


[120] ミニ小説(5) 投稿者:びっぐにゃん 投稿日:2012/04/27(Fri) 22:31  

武器の店・うり屋(5)

「よう、そこの獣人さんよぉ。こんなところで、こんなシケた店やってんじゃねぇよ。」
「シケた店で悪かったですね。でも、こんな店でも、買いに来てくれるお客さんがいる限り、おいらは続けていきますよ…」
 これはまた、わかりやすいチンピラがいたものだな。それを軽くあしらいながら、店頭の武器の整理なんか始めるウリボーさん。まぁ、この手の輩の扱いくらい、慣れたものだろう。
「おいおい、この町の影の支配者、点鱈(てんたら)5兄弟の長男、この点鱈様を無視してんじゃねぇよっ!」
 げしっ! がしゃんっ!
 チンピラが陳列棚を蹴り飛ばすと、端に積んであった短剣が1本、床に落ちた。あれ、点鱈って、どこかで聞いたような…
「あ〜っ、この人、こないだシモンさんにナイフで切られた人ですにゃ。教会で復活したんですかにゃ?」
「だ〜っ! 違うっ! あれは弟だっ! オレはガラの悪い神父にメイスで殴られて、その後のことは何も覚えていないっ!」
 何かを思い出したキャットの指摘に、何やら意味不明な抗議をする点鱈。そういえば、遠い昔、そんな取るに足らない出来事があったっけ。それにしても、ガラの悪い神父って、一体どの口が言うんだか。
「そんなことは、どうでもいいんだよ。やい、獣人っ! オレ達に断りもなく、こんな店やってんじゃねぇよっ!」
 げしっ! がしゃがしゃんっ!
 また棚を蹴り飛ばす点鱈。短剣が3本ほど、床に落ちて転がる。
「点鱈さんって言いましたかね。他のお客さんに迷惑掛けるようなら、出て行ってもらいますよ?」
 まともに相手にする気は一切ないといった態度で、落ちた短剣を拾うウリボーさん。それを、さっと奪い取る点鱈。
「けっ、こんなナマクラ、拾うほどの価値があるのか…よ?」
 すぱっ! ころん…
 不用意に刀身に触った点鱈の指が、あっさり切れて床に転がる。短剣といっしょにそれも拾いあげるウリボーさん。
「ほら、素人が触ると、危ないですよ。ほら、試供品の救急キット。指でも腕でも、すぐにくっつきますよ。これあげるから、もう帰ってもらえませんかね?」
 ウリボーさんの気持ちはよ〜くわかる。わかるんだが、やっぱり、それであっさり帰ってくれるはずがなかった。


[119] ミニ小説(6) 投稿者:びっぐにゃん 投稿日:2012/04/27(Fri) 22:30  

武器の店・うり屋(6)

「おいっ、獣人っ! このオレをなめてやがんのか、あぁ?」
 世の中をなめてやがるのは、自分の方だということに、このチンピラが気付く日は来るんだろうか?
「このオレ様に、こんなケガをさせておいて、タダで済むとは…」
「ウリボーさんのせいじゃにゃいですにゃ。あなたが勝手に指を切ったんですにゃ。トロい人が剣なんか持つから、そうなるんですにゃ。」
 あ〜、キャット、わざわざそんな挑発を…
「何だ、この威勢のいい猫ちゃんは? 調子に乗ってんじゃねぇぞっ!」
 左手でキャットのセーラー服の襟をつかんで、右の拳を振り上げる点鱈。おいっ、女の子に暴力は…
「にゃぁ〜〜…にゃぴっ!」
 私が割って入ろうとした、その刹那。変な鳴き声と同時に、キャットの目がぴかっと光った!
「へろ〜…はらひれ〜…」
 突然、わけのわからないことを言いながら、千鳥足で店の壁に向かって歩き始める点鱈。何だ? どうしたんだこいつ? 声を掛けるか、とりあえず様子を見るか、私とウリボーさんが躊躇している間に、点鱈はなぜか、着ていた服をその場で脱ぎ始めた。
「ふははははははは…見ろっ! これが、オレの新しい鎧だっ! どうだ、すごいだろうっ! これは伝説の勇者が身につけた、伝説の鎧だっ! ふははははははは…」
「…ゴビリンさん、何ですかあれ?」
「そんなこと、私に聞かれても…なぁ、キャット。あいつ、パンツ一丁で、壁に向かって何やってるんだ?」
「わたしの幻影の魔法が、効いてるんですにゃ。あの人、今、伝説の鎧を手に入れて、喜んでるんですにゃ。」
「伝説の鎧って…あいつ、何も持ってないぞ?」
「幻影ですから、魔法にかかってにゃい人には、にゃにも見えませんにゃ。」
「この鎧さえあれば、オレは不死身の勇者だっ! ふははははははは…」
「それで、キャットちゃん、この後どうするの? いつまでも壁に向かってバカ笑いされても、困るんだけど?」
「大丈夫ですにゃ。わたしにまかせてくださいにゃ。」
 心配そうなウリボーさんの横を通り過ぎて、点鱈のところへ歩み寄っていくキャット。そして、点鱈の耳元で…
「勇者様…モンスターが出ましたにゃ…成敗してきてくださいにゃ…勇者様…ほら…モンスターが…その道をまっすぐ進んだ先にいますにゃ…勇者様…」
「おぉっ、そうかっ! わかったっ! すぐ行くっ! どこだぁ! モンスターはどこだぁっ!」
 目を輝かせながら、元気よく飛び出していく点鱈。なるほど、幻影の魔法が効いてる間は、小声で話しかければそれを信じ込むのか。
「さいにゃら〜♪」
 笑顔で見送るキャット。あの魔法がいつまで効くのか、あいつがこの後どうなるのか、そんなことは私の知ったことではない。
「さて、邪魔な奴は片付いたし、せっかく来たんだから、何か見せてもらうか?」
「はいにゃ。わたしは、魔法使いの装備をちょっと見てみたいですにゃ。」
「はいはい、それならこっちの棚に…」
 のどかな午後のひととき。我々は夕食の時間まで、うり屋でショッピングを楽しんだ。


[118] ミニ小説(7) 投稿者:びっぐにゃん 投稿日:2012/04/27(Fri) 22:30  

武器の店・うり屋(7)

「…で、まさかと思ったんだが、本当の話だったんだよ。」
「にゃははは♪ そうにゃんですか♪」
「なっ、面白いだろ? さて、私はコーヒーをもう一杯…」
「あっ、わたしも、オレンジジュースのおかわり、もらってきますにゃ。」
 世の中の平和のために日々努力と鍛錬を怠らない、立派な冒険者の我々2人は、今日も冒グルの食堂で、気ままな午後のひとときを過ごしている。
「ゴビリンさん、申し訳ないんですが、それ飲んだら、そろそろ…」
 ウリボーさんに声を掛けられて、カップに残ったコーヒーを慌てて飲み干して、席を立つ準備をする。
「あ〜、申し訳ない。ほら、キャット、行くぞ。」
「はいにゃ…ごくごくごくごく…うっ! げほごほっ!」
「慌てなくてもいいですよ。それより、ゴビリンさんたち、今日のこれからの予定は、何かあるんですか?」
「う〜ん、私は特に何も…キャット、お前はどうだ?」
「わたしは、お昼寝して、起きて、あくびして、ちょっとツメを…」
「そういうのは『予定なし』って言うんだよ。」
「そうですか。じゃぁ、これからうり屋に来ませんか? キャットちゃんに、ちょっと、渡したいものがあるんですよ。」
 キャットに渡したいものって何だろう? まぁでも、そう言われると、特に断る理由もないし、ここはウリボーさんの好意に甘えることにしよう。そう決めた我々は、またウリボーさんと一緒に裏道を通って、うり屋の店先まで来た。


[117] ミニ小説(8) 投稿者:びっぐにゃん 投稿日:2012/04/27(Fri) 22:29  

武器の店・うり屋(8)

「ほら、キャットちゃん、これ。おいらの手作りなんだけど、良かったら使ってくれないかな?」
「はいにゃ♪ ありがとにゃ♪ にゃらら〜♪」
 キャットがもらったもの、それは、小さい鮭の形の飾りが付いたヘアピンだった。
「それは、ただのヘアピンじゃなくて、特別な防御魔法が掛かっててね。装備してる間、防御力が1あがるんだよ。それと、もうひとつ隠れた効果があるんだけど…そっちは、できれば発動しない方がいいかな。」
 そういえば、キャット、こないだ魔法使いの装備が欲しいとか何とか言ってたっけ。結局あの時は、手持ちのゴールドじゃ全然足りなかったんだが。そのことを覚えていてくれたウリボーさんが、こうして気を利かせてくれたんだろう。それにしても、ヘアピンはわかるが、なんで鮭…?
「この鮭の飾りがかわいいですにゃ♪ ウリボーさん、器用なんですにゃぁ。ここの武器や防具はみんな、ウリボーさんが作ってるんですかにゃ?」
 もらったヘアピンが気に入ったみたいで、早速頭に付けながら、そんなことを聞くキャット。それをかわいいと感じるセンスはどうかと思うが、ここの武器のことは、私も前々から聞いてみたいと思っていた。
「おいらが作ってるのは、ごく一部の注文品か、特殊能力が付いた装備だけで、ほとんどの装備は問屋さんが…あ〜、ちょうど来たみたいですよ。」
 ガラガラガラガラ…
 小道の向こうから走って来た荷馬車が、うり屋の前で止まる。
「ちわ〜っす、問屋で〜す。今日の荷をお届けにあがりました〜。」
「はいはい、いつもお世話になっております。その箱はそのへんに…そっちの箱は店の奥に…」
 なるほど、どこで作ってるのかは知らないが、量産タイプの装備品は、こうして問屋さんが馬車で運んで来るのか…冒険者としては、そういうことも知っておいた方がいいだろう。こんな場面を見学する機会がもらえたことに、感謝することにしよう。
「あっ、また誰か来ますにゃ。あれ、こないだの、なんとかさんじゃにゃいですかにゃ?」
 キャットに言われて道の方に視線を送ると…あ〜、あいつ、また来やがったよ…


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